はじめに
最近では暗号資産(仮想通貨)取引が普及し、こうした状況に対応するため国税庁は「仮想通貨Q&A」を公表しました。
一方、弊所には暗号資産(仮想通貨)取引の案件が複数寄せられています。これらの事案に携わらせていただくなかで、関与先の皆様が共通してお持ちのご不明点等がみられます。そうした点を踏まえながら、本記事は暗号資産(仮想通貨)に関する税務上の取扱いについてご説明するものです。
今回は電子商取引の普及と働き方改革が所得税実務に与える影響について、全4回に渡って掲載します。
「はじめに」
ソーシャルメディアのプラットフォームは, ウェブ上のサービスを展開する基礎となっており、
インターネット上でユーザーが相互にコミュニケーションする場を提供したことによって、
シェアリングエコノミーやギグエコノミーなど新しい分野の経済活動が広がりを見せています。
また政府が推進する働き方改革は、働き方の多様化や従業員に副業や兼業を認める企業の遍在化を後押ししており、
所得税確定申告を要する納税者が増加しているのです。
このような状況の下で、令和2年分から所得税確定申告書(第一表)の雑所得の区分に「業務」欄が新設されました。
その基となった令和2年度税制改正では, 給与所得者等の副業から生ずる所得を「雑所得を生ずべき業務に係る雑所得」に分類することで、
経済的実態に即した所得分類に区分し適正な課税の実現を図る税制面の整備をしました。
この副業に係る申告手続等の改正は, 令和4年分以後の所得税について適用されます。(なお令和4年10月には所得税基本通達の法35条(雑所得)関係も一部改正)
他方で「令和2年度学生生活調査」(日本学生支援機構)によれば、学生生活費の一部は, アルバイト収入で賄われています。
その所得稼得形態は加速度的に多様化しており、 大学生が主にSNSを使ってモノやスキル・時間をシェアするサービスに従事している姿を見る機会が増えましたね。(例えばウーバーイーツの配達員やココナラなど個人スキルの提供)
加えて国税庁が『暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)』を令和4年12月に更新したほか、
『NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)』を令和5年1月に公開したことは、
雑所得を生ずべき業務にかかる課税実務上、画期的な変革となりました。
以下3回に渡って、大学生の日常生活を取り巻くシェアリングエコノミーのサービスをはじめ
暗号資産取引やNFT(非代替性トークン)という技術を利活用して副業を行う者の所得税の実務について
税務申告の際に留意すべき点をご説明します。