暗号資産(仮想通貨)

電子商取引の普及と働き方改革が所得税実務に与える影響「NFTによる取引と所得税」

投稿日:2024年12月30日 更新日:

 

松実宏幸
こんにちは、松実宏幸です。

 

今回は電子商取引の普及と働き方改革が所得税実務に与える影響「NFTによる取引例と所得税」について掲載します。

 

はじめに

最近では暗号資産(仮想通貨)取引が普及し、こうした状況に対応するため国税庁は「仮想通貨Q&A」を公表しました。
一方、弊所には暗号資産(仮想通貨)取引の案件が複数寄せられています。これらの事案に携わらせていただくなかで、関与先の皆様が共通してお持ちのご不明点等がみられます。そうした点を踏まえながら、本記事は暗号資産(仮想通貨)に関する税務上の取扱いについてご説明するものです。

 

NFTによる取引例と所得税

 

例題として昨年開催された第24回オリンピック冬季競技大会(2022/北京)で使用されたNFTを例に解説します。

国際オリンピック委員会(IOC)が共同制作した2022年の第24回オリンピック冬季競技大会(2022/北京)の大会公式ブロックチェーンゲームOlympic Games Jam: Beijing 2022では, プレイヤーはゲームをプレイし, その報酬として, NFTピンバッジやゲーム内通貨(VTG)を取得する機会があります。

「※NFTピンバッジとは, 過去の五輪大会のポスターやエンブレム, マスコット, 競技のピクトグラムなどオリンピックに関する知的財産を使用したデジタルグラフィックを紐付けたNFTである。」←枠で囲む

このNFTは, 電子商取引プラットフォームのnWayPlay内で売買でき、VTGは交換所で暗号資産に直接交換が可能です。

このようにゲーム内アイテムを直接または間接に換金できる場合, ゲームの報酬は所得税の課税対象となります。

その所得金額は原則として、その年にゲーム中で得たNFTの時価評価額の総額からゲームの報酬を得るために使用したNFTの購入価額等の総額を差し引いて計算します。

しかし実務上ブロックチェーンゲームにおいては、 NFTに紐付けられたゲーム内アイテムの取得や使用が頻繁に行われ、その都度の時価評価は煩雑さを否めないため年末に一括で評価する簡便法で雑所得の金額を計算するのが一般的です。

以上のような副業等を営む人は, 令和4年分以後の所得税確定申告の手続き面において

ⅰ収益費用の帰属時期
ⅱ請求書や領収書等の保存義務
ⅲ収支内訳書の添付義務

を確認しましょう。

次回、収益費用の帰属時期・請求書や領収書等の保存義務・収支内訳書の添付義務を確認しながら、所得税申告の留意点に関してご説明します。

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