はじめに
最近では暗号資産(仮想通貨)取引が普及し、こうした状況に対応するため国税庁は「仮想通貨Q&A」を公表しました。
一方、弊所には暗号資産(仮想通貨)取引の案件が複数寄せられています。
これらの事案に携わらせていただくなかで、関与先の皆様が共通してお持ちのご不明点等がみられます。
そうした点を踏まえながら、本記事は暗号資産(仮想通貨)に関する税務上の取扱いについてご説明するものです。
前回は、「財産債務調書への記載要否」についてお話し致しました。
※「財産債務調書への記載要否」はコチラ
今回は価額の記載方法についてお話し致します。
財産債務調書への暗号資産(仮想通貨)の価額の記載方法
暗号資産(仮想通貨)の価額については、活発な市場が存在する場合には、財産債務調書を提出される方が取引を行っている暗号資産(仮想通貨)交換業者が公表するその年の12月31日における取引価格を時価として記載します。
もしも、時価の算定が困難な場合は、その年の12月31日における暗号資産(仮想通貨)の状況に応じて暗号資産(仮想通貨)の取得価額や売買実例価額などをもとに、合理的な方法により算定した価額を見積価額として記載します。
活発な市場が存在する暗号資産(仮想通貨)については、活発な取引が行われることによって一定の相場が成立し客観的な交換価値が明らかになっていることから、財産債務調書を提出される方が取引を行っている暗号資産(仮想通貨)交換業者が公表するその年の12月31日における取引価格を時価として記載します。
注意
1.「活発な市場が存在する」場合とは、仮想通貨取引所または仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われており、継続的に価格情報が提供されている場合をいいます。
2.「仮想通貨交換業者が公表するその年の12月31日における取引価格」には、仮想通貨交換業者が財産債務調書を提出される方の求めに応じて提供する残高証明書に記載された取引価格を含みます。
3.仮想通貨交換業者(仮想通貨販売所)において、購入価格と売却価格がそれぞれ公表されている場合には、財産債務調書を提出される方が仮想通貨を仮想通貨交換業者に売却する価格(売却価格)を記載しても差し支えありません。
4.財産債務調書を提出される方が複数の仮想通貨を仮想通貨交換業者で取引している場合、財産債務調書を提出される方の選択した仮想通貨交換業者が公表するその年の12月31日における取引価格によって記載して差し支えありません。
また、財産債務調書に記載する財産の価額は、その財産の時価による算定が困難な場合、見積価額を記載しても差し支えありません。
仮想通貨の見積価額とは
①その年の12月31日における売買実例価額(その年の12月31日における売買実例価額がない場合はその年の12月31日前の同日に最も近い日におけるその年中の売買実例価額)のうち、適正と認められる売買実例価額
②①による価額がない場合は、その年の翌年1月1日から財産債務調書の提出期限までにその仮想通貨を譲渡した場合における譲渡価額
③①及び②がない場合は、取得価額
【関係法令等:国外送金等調書法6の2③/国外送金等調書令12の2②/国外送金等調書規則12⑤、15④】
さいごに
いかがでしょうか?
今回はいつもよりボリュームが多くなってしまいましたが、仮想通貨取引を行う上で大切な内容になりますので、しっかり押さえておきましょう。
次回は最終回になります。
お楽しみに。